派遣社員、成功のカギは「プロ意識」
派遣会社や派遣先企業は、いったいどんな人物を求めているのか?
派遣を巡る裏話
派遣業界では有名な、ある大手3社の営業マンと話した時のことです。率直に「派遣元として求める人物像は?」と聞くと、彼らはなぜか苦笑いを浮かべて答えました。
「普通の人です。素直で、やる気があれば必ず成功しますよ」
あまりにもシンプルな答えに驚き、「スキルや経験の程度は?」と聞いてみると、事務系の場合は「中途半端な知識や経験よりも、素直さが最も重要です」と返ってきます。技術系についても、やはりスキルよりも人物優先(特にコミュニケーション能力重視)の傾向があるようです。
「言われた仕事をこなすだけの時代は終わりました。これからは各自で現場のニーズを把握できるか否かで明暗が分かれます。それには現状を素直に把握する目が必要でしょうね」
派遣業界の変化
これまでの長い不況の間、大手企業の8割近くが人員削減に踏み切り、最も効果があったリストラ策もやはり人員削減であったと考えられています。そして今後の見込みについても、正社員数を年平均で0.8%減少させ、一方で派遣やパートを2.3%ほど増加させる傾向にあると見られています。
これを業界別に見ると、精密機械、陸運、銀行系は減少気味であり、不動産、情報・通信、サービス、小売業などに増加が見込まれています(以上、内閣府経済社会総合研究所資料より)。
そして家電・半導体系の設計・開発経験者や営業経験者は、いまや"売り手市場"にあります。企業は慢性的な人材不足に悩んでおり、敷居が低くなっていますので、スキルアップやステップアップを目指す人には絶好の機会だと言えるでしょう。
またネットの普及によりHP制作関連やソフト開発の分野でも需要が高まっており、こちらも経験者が優遇される分野となっています。趣味がこうじて仕事に結びつく――こんな理想的とも思える人が増えています。
パートでも正社員でもない派遣社員への期待
さて、派遣が重宝される理由は、なんと言っても経費削減効果にあります。しかし最近になると人事担当者の間では「改革に手を貸してくれる人」という期待も高まっています。社内改革は多くの痛みを伴い、正社員は反発しがちですが、プロ意識のある派遣社員は他社の経験も豊富で説得力があり、広い視野で改革を支えてくれるからです。
今後、ますます期待されるのがプロ意識のある派遣社員といえるでしょう。
多彩な経験こそが最大の魅力
受け入れ企業が「派遣」を必要とする場合、その多くがリストラによる人員不足の補充と効率アップを望んでいます。ここで求められる能力とは、単にスピードやスキルが要求されるのではなく、最も重要なのは「幾つもの処理方法を知っている」ということです。例えばデータを集計するにしても、「他社ではこういう処理をして、こういう成功を収めた」という説得性のある効率化や業務改善が重要です。
派遣先である企業は、このような「幾つもの処理方法を知っている」派遣社員に大きな期待を寄せています。なにしろ同じ職場で働く社員のレベルアップにも繋がるからです。
前の派遣先での経験や疑問に感じたコトは、ぜひメモかノートに残しておいて、次のステップで大いに活用したいものです。やった仕事は全て、まるまる自分の「売り」にする――この意気込みだけでも大きな差が出るようです。
「やる気」と「素直さ」を活かす
ある派遣コーディネーターは、こんな愚痴をこぼしておりました。
「これだけ登録者数が増えても、オススメできる人はごく一部ですね」
どうやら気軽なアルバイト感覚の人が多く、時給や待遇を巡って派遣元や派遣先企業でトラブルを起こすというのです。
「とにかくプロ意識を持つ人は少なくて、それをアピールできる人も僅かです。もしアピールだけでもあれば、スキル不足であっても率先して紹介してますよ。なにしろやる気があるだけでも派遣先のウケがいいのは目に見えてますからね」
そして派遣業務の難しさは、企業によって遣り方が変わるところにあります。そこで重要になるのが「素直さ」です。これは別に「言いなりになる」というものではなく、「派遣先の要望をしっかりと聞ける人」を指します。「どうせ派遣だから」とその場凌ぎの作業で済ませてしまう人が圧倒的に多い中、しっかりと会社の要望を確かめながら仕事をする人は、やはり一目置かれます。
会社の要望は、スピード化、コスト削減、データ集積、顧客満足……上げればキリがありませんが、優先順位は必ずあります。こうして「企業の望むこと」をしっかりと確認してから、プロらしく「企業の満足」をはかる意識でいれば、自ずとやるべき事とそうでない事が見分けられるようになり、貴方の負担も大幅に軽減できるでしょう。
「意識のあるなしは、顔や雰囲気にまともに出ます。ただ頭の隅に置くだけでも、全く違う人に見えるから不思議です」
こんな素朴な違いで、いい仕事を回すかどうかが決まるというのには驚きます。
しごとナビでスカウトを受けるなら
転職コラムに戻る