法務業務を徹底検証! 第18回
取締役と会社の関係 「善管注意義務」&「忠実義務」
取締役と会社の関係とはどのようなものなのでしょうか?
取締役は会社の従業員ではありません。会社、正確にはその会社の株主から、会社の経営について委任を受けているひとたちです。
委任を受け会社を経営するということについては、それなりの義務を負うこととなります。民法上の「善管注意義務」といわれるものです。
これは、一般的には、善良なる管理者として要求される注意義務のことです。会社のために常に注意を払いながら経営にあたりなさい、精一杯会社のために尽くしなさい、ということです。
もうひとつあります。「忠実義務」といわれるものです。これは商法に規定されています。
「取締役は会社のために忠実にその職務を遂行する義務を負う」とあります。
これは、会社の利益と取締役個人の利益が衝突するときは、会社の利益を優先、会社の利益に忠実でなければならない、ということです。
ですから、もし取締役がこうした義務を尽くさないで会社に損害を与えた場合、委任という契約上の義務を履行しなかったということになりますから、会社に対して損害を賠償しなければなりません。
取締役にはこのような一般的な義務のほかに、商法において、特別の義務・責任が規定されています。
・法令、定款違反 | 取締役が、株主総会、取締役会の決議に違反した行為をしたときは、その取締役は連帯して会社に損害を賠償しなければならない。 |
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・違法配当 | 配当可能利益がないのに配当議案を株主総会に提出し、あるいは、中間配当の制限規定に違反して配当を行った取締役は、その違法配当額を会社に対して賠償しなければならない。 |
・株主への利益供与 | 株主の権利の行使に関して利益供与をしたときは、その供与額を会社に対して賠償しなければならない。 |
・会社から取締役への金銭貸付 | 会社が取締役に金銭を貸し付けた場合、その弁済がなされない限り、承認に賛成した取締役は連帯して会社に対してその金額の返済をしなければならない。 |
・利益相反取引 | 取締役が利益相反取引を行って会社に損害を与えたときは、利益相反取引をした取締役および承認に賛成した取締役は連帯して会社の損害を賠償しなければならない。 |
・競業避止義務 | 競業避止義務に違反した場合、その行為により取締役が得た利益の額は会社の損害額と推定され、その金額を会社に弁済しなければならない。 |
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