「管理」で捉える総務業務 第9回
〜 総務業務に共通する考え方の検討 〜
今回は、取締役会の運営に関する管理について整理してみる。
取締役会運営に当って注意すべき「管理」はそんなに多くはない。そのなかで、
最も重要な管理は情報漏洩に関する「リスク管理」である。
取締役会の出席者は内部(社外取締役・非常勤監査役も内部と考える)の者に限られる。
そこから経営上の機密情報が漏洩するのは、役員のモラルの問題、商法上の善管注意義務違反や
忠実義務違反として役員個人の資質に関する問題であるが、議事録の管理に関して情報漏洩が発生した場合は、
管轄部署である総務部の責任となる。
取締役会議事録は法定(商法)保存文書として扱う必要があり、さらに、10年間本店に供え置き、
裁判所の許可は必要とするものの、株主や債権者に閲覧する権利がある。よって、総務部の管理のもと、
閲覧できるスペースとともに取締役会議事録を管理する場所を定めておく必要がある。また、会計監査の際に、
会計士より閲覧の要請がくることもある。
いずれにせよ、必要があれば即座に取り出せる体制が必要であるが、鍵もかけずに管理することは絶対にして
はならない。内部情報の流出のリスクを考えると、総務部による鍵管理のもと、閲覧時にはしかるべき役職者を通じて、
受け渡しと返却を確実に行う必要がある。
議事録の管理の重要性は上記の通りであるが、その作成、議事録に記載する文言にも注意を要する。
常務会や経営会議で既に決定されたものを、法的に必要だから取締役会で承認するだけの形式的なものであれば、
議題につき質問もなければ議論されることもない。況や反対意見がでることもない。このような場合であれば、
「・・・全員異議なく賛成し・・・」と記載していれば済む。しかし、喧喧諤諤の議論がされ、中には採決において反対する
ような役員がでてくる取締役会であれば、その議事録の作成は慎重に行わなければならない。
いまはやりの株主代表訴訟も考慮して、「・・・○○取締役は反対を表明した・・・」というような文言が必要となってくる。
賛成でない場合は、明確に反対を表明し、その事実を議事録に記載されない限り、賛成と推定されてしまうからである。
次回は、社内規程管理について「管理」というキーワードでそのポイントを整理してみる。
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